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どうしておまえなんか 1 (米英仏)
 

俺は確かに男も女もいけるくちだった。
好みだったら男でも女でもよかった。
時に紳士に、時に淫らに、何人と「そう」なったかしれない。
それに違和感も感じなかった。


けど、おまえは違う。

おまえは、俺にとって、「男」でも「女」でもなかった。
「弟」だった。

「そう」なる対象じゃ、なかった。





「なのにどうして・・・・」

ジンがのどを焼く。
強い酒を続けて飲むと、味なんかよりもこの感覚を追いかけて飲んでいる錯覚に陥る。
追っても追っても癖になる、あの行為に似ている。


「おまえ、さっきから『どうしてどうして』って、何言ってんだよ、おにーさんわけわかんない」

カラン、とバカラを鳴らして、リキュールを飲む髭が、訝しげに俺を見つつ溜息をつく。

「…まあどうせ、おまえのことだ、あのボーヤのことだろうけど」


俺は何も言わない。
何も言わずしこたま飲みたいから、コイツを誘ったのだ。
悔しいけれど、今の気分のときにコイツ以上の飲み相手を知らない。

それを向こうも重々承知のようで、こちらの返答も待たずぺらぺらと一人で話を続けている。
上手い酒、良い店でBGMに男の声というのは最低だが、一人で飲むことを考えれば少しはマシだ。

一人で飲むと、自分が酔っているのか酔っていないのかもわからなくなる。
・・・・自分の意思すら、わからなくなる。



「・・・・っていうかさ、いい加減、おまえも腹を括ったら?」

6杯目があいた頃、おもむろに疑問符を投げられた。


「・・・ああ?」

少し気分がよくなってきたところに水をさされ、不機嫌に返答する。
やれやれ、というポージングが鼻につく。


「アイツが言うに事欠いてこの間俺になんていったか知ってる?」

「んなこと俺が知るわけねーだろ!!」



「『彼の「イイトコロ」全部教えてよ、今度から君の役を俺が引き受けるから』」



「・・・・ッ・・・・」


「おまえ、アイツにどーゆー教育したんだよ」

「俺が、知るかよッ!!おまえの影響なんじゃねーのか!」

「やーだやだ、悪いことは全部俺のせいかよ,、エロ大使が聞いてあきれるね」

「・・・・shit!」


ウエイターが7杯目として置いてくれたエールをぐいっと飲みほす。

何もかも忘れてしまいたい。



「・・・・で。結局おまえどうするの。アイツのこと。」

いつになく髭が真顔でこちらを見ているのは気のせいだ。
でなければやってられるか。



「・・・どうしようも、ねえよ。俺にとってあいつは、あいつがどう思っていていようと、『弟』だ。」


8杯目に頼んだソルティドックの塩が、俺の気持ちとは裏腹にきらきらと輝いていた。


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